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サービス品質の向上を実現するサービスマネジメントの基盤を「LMIS」で構築|auカブコム証券株式会社 様

サービス品質の向上を実現するサービスマネジメントの基盤を「LMIS」で構築|auカブコム証券株式会社 様

ITIL準拠のプロセスでインシデント管理と手順の順守を徹底

三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)のインターネット専業の証券会社であるauカブコム証券株式会社では、商用サービスや業務システムなどを支える1000台を超えるサーバ群から上がってくるエラーメッセージをイベント情報として取得し、ITILに準拠したITサービスマネジメントに沿ってインシデント管理を行うことで、内容に応じた手順の標準化を徹底させるなど業務品質改善に向けた取り組みを推進しています。そんな品質改善に向けたサービス基盤として、ユニリタが提供するサービスマネジメントプラットフォーム「LMIS」が採用されています。

導入メリット

  • ITIL準拠のサービスマネジメント基盤を利用することでインシデント管理を実現し、システム改善に向けたプロセスへとつなげることでサービス品質の向上に一役。

課題膨大な処理件数で対応が後手に、
エラー処理の標準化と作業品質の向上を目指す

2019年12月にカブドットコム証券から社名を変更し、新たにスタートしたauカブコム証券株式会社。「すべてのひとに資産形成を。」を掲げ、MUFGにおけるインターネット専業の証券会社として事業を展開しており、2019年段階で113万を超える口座数を誇っています。MUFGの持つ総合金融機能としての安心感とKDDIが持つauの顧客基盤の双方の強みを活かすことで、他社には真似のできない先進的な金融サービスの提供を目指しています。現在は、ネット証券からMUFGのデジタル金融企業への進化を図りながら、デジタルイノベーションのフロントランナーとして“カブコム2.0”を掲げた中期経営計画を進めており、先進性や多様性、効率性などさまざまな面でNo.1となるべく事業を推進しています。

(図をクリックで拡大)

そんな同社の業務基盤を支えるシステム技術部において、社内で運用する1000台を超える各種サーバの運用管理を行っているのがシステム技術部 SREグループです。「一部の専門領域を除いて、お客様向けのサービスはもちろん、業務システムで利用する各種サーバやクライアントPCまで、標準化された領域に関する運用管理を一手に担っています。現在は運用における自動化、いわゆる『NoOps』に向けた環境づくりに注力しています」とシステム技術部 SREグループ長 道場 大氏は語ります。なかでも同社が手掛けるシステム基盤の特徴は、勘定系を含めた全取引システムを自社開発・運営するなど、Microsoft Windows Serverによるオープンなアーキテクチャを採用し、ネット証券ならではの新たなテクノロジーを柔軟に適用できる環境を整備することで、システム面でも競合との差別化を進めています。また、金融機関に求められる可用性の高いインフラづくりにも注力しており、サーバ環境はN+1の縮退構成を採用するなど、障害発生時でもサービス維持が可能な環境を整備しています。

システム技術部 SREグループ長
道場 大氏

そんな多数のサーバ運用を手掛けている同部では、サーバからあがってくる1日10万件を超えるエラーメッセージを監視ツールによって一次切り分けを実施し、メールにて通知を受け取った各担当者が個別に対応を進めてきました。ただし、膨大な処理件数のために対応が後手に回ってしまうケースもあるなど、運用面での作業品質向上が大きなミッションとなっていたのです。「以前から品質管理における議論は進めてきましたが、影響の大きな事案が発生したことがきっかけで、エラー処理の標準化とさらなる作業品質の向上を目指したプロジェクトが発足。新たにトラブルチケットを発行してイベントを収集し、インシデント管理の標準化を推進する仕組みづくりが始まったのです」と道場氏は経緯について振り返ります。

解決策ITIL準拠のサービスがSalesforce上で動かせる、
コストパフォーマンスも最適

新たな仕組みづくりを進める過程で同社が求めたのは、委託している外部ベンダーによる監視作業にも活用できる、一気通貫でのプラットフォームづくりでした。「インシデント自体の管理はExcelでも可能ですが、関係者含めて運用できるよう、プラットフォームとなるものが必要でした」と語るのは、システム技術部 SREグループ 岩井 大輔氏です。当初はオンプレミスでシステムを構築する案もあがっていましたが、クラウドファーストの思想で基盤づくりを推進している同社だけに、クラウド環境で運用できるものを中心に検討を進めることに。そこで注目したのが、サービスマネジメントプラットフォーム「LMIS」でした。「全社的にはAWSやSalesforceを推進する動きがあるなか、Salesforce上で利用できる『LMIS』であれば当社のニーズに適していると考えたのです」。

システム技術部 SREグループ
岩井 大輔氏

特に「LMIS」は、ITサービスマネジメントの標準的な手法であるITILに準拠しており、作業手順の標準化も含めた品質向上に大きく貢献すると考えたと説明します。「以前はメールを中心に対応していたことで、外部パートナーとの情報共有も多少ラフに行われていた面があります。ITILであれば運用そのものが標準化できるため、当社が目指すプラットフォームとして利用しやすい」と岩井氏は語ります。

また、「LMIS」を選択した大きな理由の1つが、コストパフォーマンスの良さでした。実は以前、構成管理を目的に、プロセス全体のワークフローを統合できるソリューションを導入し、その仕組みの一部として提供されていたチケット管理の機能を活用した経験がありました。しかし、同社の業務全てを同じプロセスに乗せていかないと本来的なメリットが発揮できず、高額なライセンスに対する効果が十分得られなかったのです。「イベントログを機械学習によって分類し、処理の高速化につながる他社製品を検討したこともありましたが、そもそも運用監視の領域には莫大な費用をかけることが難しいのが通例です。その点、『LMIS』は他社に比べてコストパフォーマンスが圧倒的に高く、かつITIL準拠で標準化も図りやすい。まさに当社にとって選択しやすいものだった」と岩井氏は評価します。

さらに、以前から運用改善に向けた活動をユニリタが継続して支援してきたことも大きな理由の1つでした。「ユニリタのアウトソーシング事業部の方が数年前から社内常駐しており、仕組みづくりとその後の運用改善も含めてトータルに支援いただける体制が整っていました。これまでの活動も評価したうえで、安心感があったのは間違いありません」と岩井氏は語ります。

結果として、同社が目指す作業の標準化と運用業務におけるさらなる品質向上に資する基盤として、ユニリタが提供するサービスマネジメントプラットフォーム「LMIS」が採用されたのです。

導入効果統合化されたインシデント管理で作業品質の向上を実現、エラー対応の迅速化にも貢献

これまでの運用では、各サーバ内に常駐している監視ツールがサーバのイベントログ情報を検知し、「LMIS」に対してエラーメッセージ通知を実施。「LMIS」では受け取った通知がイベント管理上に登録され、オペレータが目視で仕分けたうえで必要なものをインシデント管理として登録することでチケットが発行されています。現在はインシデント管理によって統合的に可視化する段階にあり、問題管理の運用も一部始まっています。変更管理やリリース管理、構成管理などITIL準拠のプロセスはこれから段階を経て進めていく計画で、現在は100名ほどが「LMIS」を利用してエラー対応を行っている状況です。

運用のなかでは、監視ツール側でエラーの内容によって番号が付与され、その番号に応じて標準化された手順書をもとに対応が進められています。コード化されたエラーがインシデント管理に登録されると、「LMIS」上に手順が自動的に表示されるため、エラーへの迅速な対応が可能となっています。一方で、未知のエラーについてはその都度対応を行っていますが、「LMIS」上に蓄積されたナレッジを生かすことで、この未知のエラーを随時コード化していくことにより作業品質を高めていきながら処理の迅速化を図っています。「これまで対応が属人化していたものが『LMIS』上にナレッジ化されていくことになり、業務品質の向上とエラー対応の迅速化に大きく貢献してくれるはず」と岩井氏は語ります。すでにエラーメッセージをもとにプログラム修正の対象になったものが数十件あるなど、システムの品質改善活動にも役立っている状況です。

また、「LMIS」のプロセスに沿っていくだけでITIL準拠の運用が可能になるなど、外部パートナーに委託している監視業務の標準化にも貢献することになると期待を寄せています。「トラブルチケットの運用を新たに開始したことで、作業負担が減っているわけでありません。それでも、従来のメールによる運用に比べて過去ログが検索しやすく、必要な情報にたどり着きやすいと現場からも評価の声があがっています」と岩井氏。さらに、「LMIS」で運用することで承認プロセスの履歴が可視化できるため、誰が対応したのかが明確に分かる点も現場から寄せられたメリットの1つに挙げています。

他にも、「LMIS」によってエラーに対する処理を運用グループ側でまとめて行うことで、他部門が担ってきた業務の負荷分散にもつながるはずだと語ります。「コード化されたエラーが増えれば一次対応として自部門で処理できるようになり、その都度開発部隊に依頼する頻度も少なくなります。既存システムのエラーに振り回されることなく、他部門の生産性向上に寄与できる環境が整備できたといえます」と岩井氏は今後に期待しています。

エラー件数やコード種別ごとの可視化など、全体像がリアルタイムに把握できるようになった点も大きなメリットの1つ。「これまでエラー全体の可視化を行うためには、監視ツールのアラームやメール内の情報を抽出してExcelに展開するといった、手間と時間のかかる作業が必要でした。『LMIS』であればイベント管理に情報が自動的に入ってくるため、リアルタイムにダッシュボードにて可視化できます。管理面からすると状態の可視化が容易になったのはありがたい」と岩井氏は高く評価します。

これまで運用監視やそのプロセス管理を行う場合は、統合運用管理ツールのような仕組みを使うことが一般的でしたが、同社ではヘルプデスクなどCRM領域で利用されている「LMIS」を、エンタープライズ領域のシステム監視に役立てています。「今回は一緒にタッグを組みながら、運用改善も含めた提案や支援を継続的に行っていただいています。定例会でも密に情報共有できるなど、柔軟な対応に感謝しています」と岩井氏は体制面でもユニリタを評価します。

今後の展開 市場の要求に迅速に応えるネット証券としての強みにつなげる

現在は、サーバ周りのシステム運用管理に起因するインシデントを「LMIS」にて管理していますが、今後はクラウド基盤に展開しているセキュリティ監査のログなどを取り込むなど、「LMIS」活用の幅を拡張していきたい考えです。「現状はプライベートクラウド環境に乗せた業務サーバのインシデントのみを扱っていますが、日々の業務ではパブリッククラウド上で利用するサービスから発行されるアラートや、パブリッククラウド上でのセキュリティインシデントに関する情報も個別に届いています。これらの情報も『LMIS』が持っているインシデント管理に集約していくことで、全体の可視化を図っていきたい」とシステム技術部 SREグループ 太田 有美氏は意欲的に語ります。

システム技術部 SREグループ
太田 有美氏

また、現状は同社が以前から運用しているSalesforce基盤とは異なるインスタンスで「LMIS」を動かしていますが、これを統合していくことも検討しています。「今は各サーバからのエラーをイベント管理に登録していますが、お客様からの問い合わせもイベント管理などに反映できれば、サービス要求管理なども含めた統合された運用が可能です。集まった情報をSalesforce上で分析する際にも利便性が高い」と太田氏。さらに、使い勝手の面ではスマートフォンを活用して状況把握できるよう、スマホネイティブなアプリへの期待も高まっています。「シンプルなインシデントであれば、スマートフォンからLMISにアクセスし、その場でクローズできるような仕組みもぜひ検討したい」と太田氏は語ります。

(図をクリックで拡大)

金融業界において、サービス展開も含めたビジネスのスピード感がこれまで以上に求められてくるネット証券。従来のように大型連休などに合わせてシステムの改修やリリースを実施するようでは、競合に打ち勝つことは難しい業界の1つと言えます。市場の要求に素早く応えるためにも、インシデント管理から「LMIS」が備えているITILのプロセスに沿った機能をさらに活用していくことで、作業品質を高く維持しながら迅速なリリースが可能な環境づくりを推し進めていきたいと語ります。「運用の自動化を進めるうえでは、変更管理やリリース管理など標準的なプロセスに乗せていき、プロセスの簡略化を図っていきたいと考えています。その先には、『LMIS』のロードマップにあるAIなどを実装していくことで、蓄積されたノウハウから運用ドキュメントを自動作成するなど、これまで以上に自動化された世界を実現したい」と将来像について語っていただきました。


auカブコム証券株式会社

事業案内

インターネット証券業

設立 1999年(平成11年)11月19日

従業員数 177名(2021年4月1日現在)

URL https://kabu.com/

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