インシデント管理と問題管理のKPI改善に向けた初めの一歩

この仕事をしていて、よくお客様から聞かれるのが、KPI(重要業績評価指標)についてです。
KPIというこの言葉、みなさん耳にしたことはあると思いますが、リマインドの意味を込めてお伝えすると、
インシデント管理のようにプロセスを評価するうえで、その流れがうまくいっているかどうかを判断する指標
といえます。
KPIを明確にすることによって、運用上、管理すべき項目が決まってきます。
今回はインシデント管理と問題管理を例に挙げてみましょう。
インシデント管理と問題管理は異なる管理業務
インシデント管理と問題管理は異なる管理業務です。
インシデント管理は、インシデントが発生した段階で、可能な限りスピーディーに正常な状態に戻すことを目的とします。企業活動に影響を与えるインシデントの被害を、最小限に抑えることがインシデント管理の目的です。
対して問題管理は、インシデントの原因となった問題を管理することです。
つまり、インシデント管理とは別軸で、そのインシデントがなぜ発生したかを探っていき、その後のインシデント発生を予防することが目的です。
両者の違いは管理する項目だけではありません。インシデント管理がスピーディーな対応が求められるのに対して、問題管理はスピードよりも、時間をかけてでも徹底して原因を究明することが求められます。
インシデント管理におけるKPIの一例
インシデント管理におけるKPIの一例として、次のような項目が挙げられます。
- サービスデスクで解決された割合(初回解決)
- 解決までの平均経過時間
- インシデント処理の平均コスト
- 総インシデント数に対する暫定対応の割合
- 合意済みの期間内に解決したインシデントの割合
- 重大なインシデントの数と割合
先述のように、インシデント管理ではスピードが求められるため、「解決までの平均時間」が重要な指標として盛り込まれます。
問題管理におけるKPIの一例
インシデント管理のKPIに続いて、問題管理のKPIも一例を紹介します。
- ビジネスに影響を及ぼす問題の再発数
- 要求された期間内に解決した問題の割合
- 継続中の問題に対して、重大度を基にした報告または、更新の頻度
- 未解決の問題の増減
- 問題の処理にかかった平均コスト
- 重大な問題の数
- 策定された暫定対応策の数
- 問題数に対する計画された変更の割合
インシデント管理とは異なり、「未解決の問題の増減」のように、インシデントの原因を徹底的に探ることが指標として用いられます。
KPIは、最終的な目標に対して評価できるかどうかが重要です。
例えば、「ユーザの満足度向上」という最終目的の平均コストを計測しても、KPIとしての効果はありません。
それであれば、「ユーザの満足度向上≒解決までの平均経過時間(5分以内)」と定義することで、平均時間がKPIとして求められ、どれだけ短くすればいいのか、そのためにどのようなアクションを取ればいいのかということが導けます。
自分たちが1つのインシデントの解決にどのくらいの作業時間をかけているか理解したうえで、適切な目標を定めれば、徐々にステップアップが期待できます。
インシデント管理や問題管理をしていても、なかなか成果が現れないと感じている場合は、一度それぞれのKPIを見直し設定することで、目指す点が浮かび上がり、業務効率改善も期待できますよ。
※この記事は、2014/09/11に投稿した内容を2019/12/24にリライトしたものです。