売上規模の拡大により、機能と拡張性に限界を迎えたシステムを刷新|三井食品株式会社 様
~自動化ツールと最適解の提案により、課題解決だけでなく人材育成にも貢献~
食品や酒類の卸売業界では、スケールメリットを追求するための事業拡大を目的とした業務提携や合併が頻繁に発生しており、あわせてシステムの統合が行われています。三井食品株式会社(以下、三井食品)も、年商2,000億~3,000億円規模の時代にホストコンピュータを中心に構築したシステムがありましたが、2000年の大規模合併をきっかけに一部をオープン化し、段階的に拡充してきました。
その後の売上規模の拡大につれて従来のシステムに限界を感じ、事業拡大にも対応できる次世代システムを構築する必要に迫られました。この新システム構築で採用されたのが、ユニリタのジョブ管理ツール「A-AUTO」とクラウド型ヘルプデスク「LMIS」です。三井食品における次世代システムの構築に両製品が必要とされた背景と、その効果を物流・システム本部 システム統括部 部長の森川氏に伺いました。
導入メリット
- 人手を介さずリリース処理を自動化、将来的な資産管理の実現
- 運用管理が一元化され、業務効率化の実現、ツールのライセンスコストも大幅に削減
導入オプション・サービス
- LMIS/セルフサービスポータル
- LMIS/Automatic Release
- A-AUTO
目次
導入の経緯旧システムが抱えていた5大課題
物流・システム本部
システム統括部
部長
森川 慎一 氏
「年商2,000億~3,000億円の売上規模を想定して構築したシステムを使っていましたが、相次ぐ合併で年商が8,000億円を超える規模になり、システムの限界を感じていました。今後の事業拡大にも対応できるシステムを目指し、2013年に基幹系システムの再構築プロジェクトが開始されました。」
今後の経営戦略を支えるための次世代システム構築が進められた理由について、三井食品システム統括部の森川氏は語ります。
加工食品や酒類の卸売業は、他業種に先駆けて合併による事業拡大が顕著でしたが、その動きは近年、さらに活発化しています。1988年に開発された基幹システムをベースにオープン化を進めていたものの、開発段階では今日の事業規模は想定しておらず、拡張性が欠如していました。また、地域別に3つのプラットフォームを構築していたことによる運用負荷や、操作性の悪さによる業務効率の低下などの課題も山積みになっていました。
検討を重ねた結果、8,000億円規模からさらに事業拡大を図る経営戦略に呼応する、次世代システムの構築が不可欠となったのです。そこで、「三井食品の新しいスタンダード基盤を低コスト/高品質でつくる」というコンセプトを掲げ、新システム構築のプロジェクトがスタートしました。
まずは、従来のシステムにおける課題の洗い出しから取り組みました。その結果、次の5点が課題にあがりました。
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システムごとに利用されている運用管理ツールの混在による煩雑化
ホストコンソールや他社の運用管理ツール、また一部のシステムに導入されていた「A-AUTO」も併用していたため、業務が煩雑であった。
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システムの拡張に比例する費用増加
サーバ数などシステム拡張に対応させて、運用管理ツールのライセンスも増やす必要があり、年々ランニングコストがかさんでいく。
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ルーティンワークが多く次世代システム移行の工数がとれない
「●日の●時」「〇日の終業後」「休業日である週末」など、卸先(顧客)ごとの都合に合わせてリリース作業が必要になるという、卸売業ならではの慣習がある。
そのため、運用担当者がまとまった時間をとることができず、次世代システム構築という大プロジェクトが控えているにもかかわらず、目先の業務に追われてしまう。 -
プログラム資産の本番移行申請が多く、移行負荷が大きい
資産移行を夜間や休日などに人手で行うことで、ヒューマンエラーが発生しやすくなった。また、人件費がかさむなど、負荷が膨大になっていた。
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インシデントに対応する担当者の偏りと負担増(属人化)
インシデントの担当者が、現場からの連絡に直接対応するため、いつまでも担当が代われない。また、発生したインシデントが担当者個人に属人化してしまい、組織としての共有がなされず、課題として表面化しない。
選定のポイント「メインフレーム連携」と「低コスト」が採用の決め手に。 A-AUTO に全面刷新
まず、【1】の課題(複数の運用管理ツールによる煩雑化)と【2】の課題(事業拡大に比例したコスト増)を解決する糸口となったのは、ジョブ管理ツール「A-AUTO」で最新バージョンがリリースされたことでした。
高品質かつ低コストの運用管理ツールを採用したいという要望を持っていた三井食品に対し、「A-AUTOの最新バージョンならば、メインフレームも含めて運用管理を一元化できます」とユニリタから提案したのです。
森川氏は、「①メインフレームとのジョブネット連携ができるか」「②ジョブネット登録可能数」「③複数のサーバをまたがってジョブネットを構成できるか」「④GUIからフローレベルでの監視できるか」「⑤低コストか」の5つを“重要比較ポイント”として、「A-AUTO」と他のツールを比較しました。
「②~④の機能面では、実は大きな差はなく、ジョブ数、パフォーマンスの点では他のツールでも問題ありませんでした。しかし、決定的に違ったのが①のメインフレーム連携です。A-AUTO は多くの導入実績があるのに対して、比較した他のツールはほぼ稼働実績がありませんでした。また、一度導入したら簡単にリプレイスする製品ではないので、長期的な視点でコストを考慮すると、A-AUTOが圧倒的に有利でした。」と森川氏は振り返ります。
「A-AUTO」と他社のコスト差は明確で、システム規模の拡張に伴うライセンス追加を勘案しても、5年、10年といった長期的なスパンで比較するとその差は顕著だったのです。
これらを踏まえて検討した結果、これまで導入されていた他社の運用管理製品を「A-AUTO」に全面的に切り替え・移行することになりました。
選定のポイント「リリース作業自動化による移行負荷の軽減」が LMIS導入のきっかけに
1日に何度もリリース作業や本番移行が必要になるという【3】、【4】の課題解決のために、ユニリタから提案されたのが「LMIS」でした。「あらかじめスケジュール登録しておけば、登録した日時に自動でリリース処理を実行できるという点は、非常に魅力的でした。将来的には資産管理を行いたいとの考えから、資産管理ツールの導入も視野に入れていましたが、自動リリース機能(LMIS/AutomaticRelease)だけみてもLMISは導入したいと思いました。」と森川氏は煩雑な業務を効率化できる点を評価したとのことです。
また、「LMIS」によるIT サービスの可視化・標準化により【5】の課題である属人化の解消が期待され、さらに内部統制や継続的改善を実施できることも、LMIS導入の決め手となりました。
導入の効果監視情報を一元管理し「業務効率化」と「コスト削減」を実現。1日約60~100分の本番移行作業の工数とヒューマンエラーが、自動化により実質ゼロに!
次世代システム基盤では、「A-AUTO」の統合監視モニタのダッシュボードに監視情報を集約しました。集約した監視情報は、サーバ・通信機器の監視で約400ノード、約19,000アイテムの監視設定、バッチジョブの処理監視で約6,500ジョブネット、約47,000ジョブにも及びます。従来は、複数のツールで分断されていた運用管理が一元化されたことで、業務効率化も実現でき、ツールのライセンスコストも大幅に削減することができました。
また、1ヵ月平均150枚、1日平均で7枚の移行申請書が発生し、運用担当者はバラバラの時間に何度も本番環境へのアクセスを余儀なくされていたころと比較し、「LMIS」の自動リリース機能(LMIS/AutomaticRelease)により移行日当日の作業は基本的にゼロになりました。これは、1日約60~100分の移行作業が断続的に発生した状況が改善され、当日の作業が移行完了確認のみとなったことであり、他の業務に集中的に充てられる時間が確保できるようになりました。その他、手作業が自動化されたことで、作業におけるヒューマンエラーが防げるようになりました。
さらに「想定していなかった効果もあった」と森川氏は語ります。5名中3名が20代という若い組織であったヘルプデスクチームでは、問い合わせ対応を通じて幅広い業務知識が身に着いたり、システム全体を俯瞰した対応ができるようになったなど、将来を担う若い人材のスキルアップにも寄与したことを、森川氏は強調します。
これからユニリタの常駐エンジニアによる今後の提案にも期待
旧システムの段階でも、「A-AUTO」運用のためにユニリタのエンジニアが常駐していましたが、「LMIS」の導入に合わせて常駐者数も増員されました。森川氏は「単にユニリタ製品の面倒を見てもらっているだけでなく、当社のシステム全体を理解してもらえることが大きいと思っています。そこで得た知識をもとに、当社に適していると思われるシステムや仕組みをどんどん提案してほしい」とユニリタへの期待を寄せています。
自社製品だけでなく、システム全体への最適解を提案できるのも常駐エンジニアが居ればこそ…という評価をいただいているだけに、その期待に今後も応えていけるよう、三井食品様へのサポートを、今後もユニリタは続けてまいります。