構成管理ができない理由 ~構成管理を実行するには?~

先日、とあるセミナーにて構成管理についてお話しをさせていただきました。
その時にお客様と話したこと、感じたことを書き留めたいと思います。
構成管理とIT資産管理
いろんなお客様と話していますと、構成管理とIT資産管理が混ざっているケース、構成管理といいつつやりたいのはIT資産管理(あるいはその逆)といったケースが多々見受けられます。
確かに両者は似通っており管理項目もほぼ同じようなものを管理しています。そのため混同しやすいのですが、違うのは目的および観点です。
IT資産管理は、財務会計/コンプライアンスの観点で、全てのIT資産状況を把握すること、予算内でのIT資産の効率的な配布やライセンス違反などの抑止などを目的としています。
構成管理は、サービス提供の観点で、ITサービスを効果的に提供するためにIT構成を正確に管理することを目的としています。
無理矢理に分けて管理する必要はありませんが、実践する上では考え方の違いを理解しておく必要はあります。
今回は構成管理に焦点を合わせて話しをしたいと思います。
※なお、構成管理は「ビルド」「バージョン」などに焦点をあてたソフトウェア構成管理を指すこともありますが、ここでは「ITサービスを構成する様々な情報を管理すること」として話を進めます。
コアとなるのはITサービスを構成するインフラ、ハードウエア、ソフトウェアなどの物理資源の情報となりますが、他にも契約情報、ライセンス、設定などの情報も抑えておく必要があります。
そしてITサービスには障害、ソフトウェア変更、契約更新、顧客クレームなど様々なイベントが発生します。
これらのイベントをきちんと構成情報(CI)と結びつけて、それぞれのITサービスあるいはCIに対していつどんな理由で何が起きたかをトレースできるようにしておくことが重要となります。
これらの情報を正確に保持しておくことで、ITサービスの安定運用だけでなく、トラブルの未然防止やリソースの需給予測などプロアクティブな対応を実施できるようになります。
わかっているけどできてません (T_T)
「構成管理が大事なのはわかりました。でもね~できてないんだよね。やらなきゃいけないとは思ってるけどね・・・」
ほとんどのお客様はこうおっしゃります。だいたいのパターンは以下の通り
- Excelで台帳管理しているだけ
- 更新は年に1、2回の棚卸しの時のみ
- 部門やシステムごとにバラバラに管理している
皆様、思い当たる節はありますでしょうか?
こんな状態になっていると、せっかくの構成情報も何の役にも立ちません。
- 必要な情報がどこにあるかわからない。探し出すのに時間がかかる
- 情報が正しいのか不明。間違った情報をもとに作業をして事故を起こしてしまう
という感じで、不正確な情報ならかえって有害、ない方がマシなくらいです。
なぜこうなってしまうのか、構成情報を維持する上で障害となっている原因は上げていけばいろいろありますが
大きくは2つに集約されると思います。
- 情報が散逸していること
- 情報の鮮度を保つプロセスがない、あるいは手間がかかること。
解決策としては、まず情報の散逸に対しては、情報を集中管理できるリポジトリなどの器を用意すること。可能であれば前述したようにCIに様々なイベントを紐付けて記録できるようになっているとなおベターです。
鮮度維持に関しては、膨大なCIの情報収集自体が大きな負担となっていますので、資産管理ツールなど自動的に情報を収集できるツールを活用することで情報更新の頻度を上げることがポイントとなります。ただしこれだけでは承認された正の情報なのか許可無く勝手に変えられた情報なのかは判断できないので、あわせて変更管理・リリース管理のプロセスを整備して、きちんとしたコントロールの元に構成情報が変更されることが強制されるようにしておくことも必要です。
構成管理は手作業ではとても管理しきれる情報量ではありません。
だから皆挫折するわけですが、うまくツールなどを活用することで実践は可能です。
ユニリタでも構成管理を支援するサービスを提供しております。悩んでおられるようでしたらぜひご相談を!
それではまた。
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