問い合わせ対応やシステム障害の長期化を防ぐために、これだけは押さえておきたい3つのポイント ~サービスデスク編~

サービスデスク(ヘルプデスク)にとって、緊急性の高い問い合わせや障害発生への対応は、ビジネスへの損失を最小限に抑えるためのリスクマネジメントとして重要な業務の一つです。しかし、多くの企業におけるサービスデスクは、ユーザからの要望窓口と認識されている傾向にあり、業務内容も軽視されがちです。
ですが、サービスデスクが優秀であれば業務を円滑に遂行できます。サービスデスクには、ユーザからさまざまな悩みや相談が集まってきます。そのなかには、業務改善、改革のために重要な情報もあり、有効活用することで事業が加速していくことも考えられます。また、ユーザから集まった製品やサービスの問題を現場にフィードバックすることで、損失を最小限に抑えられる可能性もあります。
このように、サービスデスクは事業に大きなメリットをもたらすため、企業によっては企画能力に長けた人材や事業部の人材を、ローテーションなどで配置しているところもあるようです。
今回は、サービスデスク業務の中でも「インシデント管理」にスポットを当て、問い合わせ/障害対応で抑えておきたい3つのポイントを紹介します。
1. 素早い情報収集
障害が発生したら、その経緯を詳細に記録します。発生経緯がすべてログとして出力されていれば調査する側は簡単ですが、ログが記録されていないケースもあります。また、ユーザ側で発生した場合は、時間経過と共に詳細な状況が忘れられていきます。経緯や状況を曖昧にしないためにもユーザへのヒアリングは、遠慮せずに可能な限りリアルタイムで詳細にヒアリングするようにしましょう。その記録もリアルタイムでチケット管理システムなどに記録し、情報共有できるようにしておくのがおすすめです。
- 発生日時
- エラーの正確な内容
- エラー発生直前に行った操作
- 発生した障害による業務への影響
などの情報を収集しておくことで早期の原因特定につなげられます。
2. 的確なエスカレーション
素早い情報収集と同時に行うべき作業が、その障害における業務への影響度を判断することです。専門アナリストかリーダーを配置し障害の記録と同時にエスカレーション判断を行います。その結果、影響度が高い場合には、素早くテクニカルスタッフや開発部門にエスカレーションし緊急体制を整えられます。
なお、情報収集と的確なエスカレーションを同時に行うためには、情報収集するスタッフはリアルタイムでインシデントチケットの登録を行い、専門アナリストかリーダーが登録と同時に状況をモニタリングできるようにします。
よくありがちな失敗例として、対応者やそのチーム内が、障害の切り分けや調査を始めてしまいがちというケースが挙げられます。特に大きな障害では、現場での判断に任せることでエスカレーションが遅れてしまい、結果、障害が長期化します。どんなに小さな事象であっても、専門アナリストかリーダーがエスカレーション判断を行う仕組みを構築しておくべきです。またエスカレーションの明確なルールを整備しておくことも必要です。
3. 有事への備え
障害発生時を想定したマニュアルの準備やトレーニングを行うこともインシデント管理業務には欠かせないプロセスの1つです。
例えば、過去に発生したことのある障害を想定して、障害の原因特定に至った経緯をロジックツリーなどで表現し、関係者全員で不足や無駄が無かったか、その他の可能性が無かったか、改善すべき点が無いかなどを話し合うことは、情報共有やトレーニングの一環として有効です。また、障害が発生した際には、開発部門など他部門と協力して解決に当たらなければならないケースが発生します。そのために、あらかじめ障害発生時の体制をドキュメント化し共有しておくことも必要です。
過去に発生した障害はナレッジとして蓄積しておく
過去に発生した障害は、先述のようにマニュアルを作成する上で役立つのに加えて、ナレッジとして蓄積おくことで、同様の障害が発生した場合に即座に対応が可能になります。
インシデント管理はいかに解決時間を短くするかが肝心です。そのため、過去に発生したインシデントをナレッジとして蓄積しておくことは、インシデント管理の時間短縮につなげられます。
まとめ:障害の長期化を防ぐにはインシデント管理プロセスの改善も大切
いかがでしたでしょうか?
障害の長期化を防ぐためには、高い信頼性のシステム構築に加え、サービスデスク、インシデント管理プロセスの改善も行いましょう。
サービスデスクやインシデント管理プロセスを改善することで、障害解決の時間短縮が期待できます。
※この記事は、2016/05/17に投稿した内容を2020/11/18にリライトしたものです。
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